インセントチップに導かれたモノ。

彼女は特殊なフリーパス・インセントチップに導かれ、700年前の記憶を取り戻した記憶都市の管理側の人間。正確に言えば、過去の記憶で構成されている記憶都市・・・その記憶の一部。記憶都市管理者よりフリーパスを与えられた彼女の記憶は、最古の都市テラで機械天使として生を受け、東京都市への逃避行を成功させたモノの記憶。
彼女の記憶の断片にあるのは2度の戦い。それは彼女が小さき時、管理者と機械天使の間で起こった。管理者は敗れた。勝利した当時の天使長はテラ管理者を殺さず、移民を望む天使を連れて、外の世界に飛び立った。しかし、病弱で生命維持装置を外す事が出来ない天使の子供は、親と一緒に呪われた都市テラに残る事を選び、結果として2度の戦いを見る羽目になった。
2度目の戦いは、テラ管理者の私怨の暴走によるものだった。しかし、矛先は過去の天使長ではなく、都市護衛の天使達だった。自分に敗北を与えた天使への復讐。天使の一族を根絶やしにする事で苛立ちを紛らわす事が出来る。背後に巣食う利用するモノに踊らされた管理者は更に暴走を加速さる。この暴走を機に、背後の散在は、徐々に表舞台に出てくる事となる。
管理者は殺した天使を兵隊に作り変え、天使同士でつぶし合うと言う残虐な方法を選んだ。天使抹殺を目論んだテラ管理者から逃げる為、当時の天使長が治める都市に仲間と共に逃げる決心をした。
必死に逃げるしかなかった。追いかけてくるかつての同胞の中に、知っている顔がいくつかあった。
かつて親と呼ばれたモノを退けた。友人と呼んだモノも退けた。
同士と呼んだモノの屍を踏み超えてやっとテラとの関係を断ち切る事が出来た。
逃げながら、彼女は管理者を殺さなかった天使長を恨むようになった。気持ちの変化に反応して、白い翼は羽毛を落とし、虫のような羽に変化していった。そんな彼女を東京都市は歓迎した。しかし、恨みは消えない。筋違いと分かりつつも怒りや悲しむといった沸き立つ感情だけが彼女をささえていた。
その当時の記憶が今の記憶都市を支えている。都市テラと管理者、天使長等は強烈な負の思念により形成されている。プレイヤーが悪戯に触れていいものではない。場合によっては命をおとしえる事もある。
都市側の要望があり、その負の記憶を提供する事によって、穏やかに暮らせるようになると言う。しかし、それは記憶を失うと言う事でもある。迷った末に彼女は記憶を提供した。
一人の若者がこの記憶都市を蘇らせた時、彼女の記憶は蘇った。序章にもあるように、インセントチップを持ち、過去の記憶を持った人達は、一般プレイヤーとは異なり常に都市で暮らすようになった。
今の彼女は、プレイヤー達に怪我の治療やアドバイスを行ってくれる。
都市を探索中に話を聞くはずだ。骨とも機械とも見える“千手”と呼ばれる羽を自由に操る女性の事を。
羽根の生えた看護婦姿の女性は、エリアを管理する1人として、祝福と治療、そして豊富な知識をプレイヤーに与えてくれる。彼女は都市の一部として生き続けている。









