TC1462 夏。 全てのはじまり
偶然だった。
家の近くの遺跡周りが朝の日課だった。・・・いつもの散歩、いつもの平穏な1日。
それが、今日は変な機械を見つける事になる。
小型の虫のようだが、ヘリコプターのようなハネを持っていた。
小さな機械。珍しいフォルム。何となく形に興味をもち、手に取る。
徐にカバーを外し、見ると一部が断線している。
細かい機械、基盤が見える。だが、工業系学校の学生には直すのは容易い事だ。
・・・これくらいなら、すぐにでも直りそうだ。
そう思い、手持ちの工具で修理を始める。
・・・よし、これで完成だ。
一瞬反応を示したが、直ぐに動かなくなる。もう一度トライするが、やはり動かない。
試している間に通学の時間になってしまう。
しかたなく、鞄に機械と工具をしまい、帰宅する事にした。
彼が学校に出かけた後、その虫は動き出した。彼のパソコンと同化し、プログラムを起動する。チェックプログラムを全てすり抜け、中枢機関に達すると、彼の脳アドレス――メモリ容量以内であれば、コンピューターから直接彼の脳にメールを送信出来る――にプログラムを送信する。

彼は学校には行けなかった。容量限界のメールは脳に負担がかかる。この送信プログラムは便利なものでサイズの大きなものは、少しずつ受信データを解凍しながら、脳にアクセスする。ギリギリの容量内で効率的に巨大なデータを送信可能となる。
通常ではキャパシティの超えた脳は機能を停止してしまうが、彼は違った。脳の領域が異常に大きい。
完全な適応者だった。一種の偏執的天才。この虫型の機械は彼の能力に反応し、行動を開始したのだった。
・・・探さなきゃ。
そう、言い残し、彼は学校と違う方向に動き出した。

10年後、彼はオンライン上で空間を自由に動きまわれるシステムを構築する。
現実との並行世界にネットと呼ばれる空間を創りだす。
いくつかのバージョンアップを経て、LINK-CITYと呼ばれるオンライン空間は動き出した。
メール登録のみで、空間に行き来できる。噂は口コミで広がり、ユーザーの数だけネットワークが繋がった。
偶然見つけた虫の中には、DNA-CITYシステムと呼ばれる過去のプログラム、過去の12都市の記憶が残っていた。彼は、これをもとに現実と平衡したネット空間を作り出します。そして、的確に他のチップを探します。データに存在する未確認の機械とも生物ともつかない物体には目もくれず。
かくして、DNA-CITYシステムは復活した。
一度登録したユーザーとは、退会してもサーバーを通して繋がり続ける。そして他のゲームやネットに繋いでいる場所にも自動的に繋がる。一種のネットワークジャックが可能。
彼が望んだものは、世界。現実とは違った世界。そんな彼は過去に存在した12の都市に非常に興味を持つ。望みが固執、執着に移行し、自身の想い、12都市の記憶、ユーザーの行動が“記憶の束”となり、システムは独自に活動を始めた。
彼の手に入れた記憶には、物語の終わりが無い。つまり、何故、都市が滅んだかは不明。地下3連都市の最下層等、危険区域となる場所はあるが、消滅の原因まではわからない。
彼は次第に外の世界と接触を経ち、この記憶世界でのみ生活を始める。都市が滅んだ理由を突き止める為に。
同時に自分の脳裏に浮かぶ、巨大な機械とも動物もの呼べる物・“破壊プログラム”・・その正体を探る為に。

・・・最近、精神が不安定になってきている。
状況を全て掌握し、彼は保険をかける事にした。数人の信用出来る者にここの管理を一系統だけではなく、分散、相互に作用出来るようにした。
そして、彼らにここの管理を任せ、自分は最深部にアクセスする為に潜っていった。










LINK-CITYを創り上げた人物。
・・・ある意味創始者です。
顔とゾイドのようなモノはチップ内のメモリにあったもの。終盤でその姿を再び現します。